提示
全身組織
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壊疽
図1:IV度の壊疽症例。糖尿病合併下肢閉塞性動脈硬化症で、第5趾が壊死し、周囲に感染を伴っている。第4、5趾は失ったが、バイパス手術により、足の大部分がたすかり、歩行可能となった。 動脈硬化で動脈が閉塞するいわゆる生活習慣病であるわけですから、動脈硬化の原因となっている 高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙、肥満 が主なリスクファクターとなります。この5つのリスクファクターが2つあるいは3つと重なるとさらに動脈硬化の進行が早まるとされています。 [aurora-net.or.jp]
Ⅳ度:潰瘍・壊疽 最も進行した患者さんでは、動脈硬化により血液が届きにくくなった足先に、治りにくいジュクジュクした傷(潰瘍)ができます。足先への血流が全く流れなくなって、足先が腐ってしまう(壊疽)こともあり、最悪の場合、足を切断しなければならないこともあります。 閉塞性動脈硬化症の診断 気になる症状などについて確認します。 友人・家族などと一緒のスピードで歩けない、ふくらはぎなどにくる痛みがあるなど、気になる症状が、いつから・どのような時に出るのかや、既往歴・家族歴などについて確認します。 [mt-pharma.co.jp]
重症になると壊疽(えそ)を起こし、足を切断しなければならないケースもあります。 検査 ABI検査(上肢足関節上腕血圧非) 一般的になってきたASOの基本検査 末梢動脈の血流状態を確認する検査がABI(Ankle Brechial Pressure Index)検査です。足首と上腕の血圧を同時に測定し、その血圧差を比較してASOかどうかを判定します。正常時では上腕より足首の血圧の方が高めですが、もし足首の血圧の方が低ければ、足の血流障害が起こっている疑いがあります。 [fureai-g.or.jp]
ちなみに下肢壊疽のために大切断をした方の予後は、4人に1人が1年後に亡くなられています(5年後ではありません!)。 また、一度下肢に潰瘍ができ始めると急速に進行することがしばしばあり、切断回避には時間的ゆとりがない場合が多いことも覚えておく必要があります。一般的には、そのような状態に至るまでには、十分な時間があります。 Norgen L et al.Eur J Vasc Endovasc Surg 33(1 Suppl). [hospital.iuhw.ac.jp]
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冠動脈疾患
その裏には、冠動脈疾患や脳血管疾患など重大な全身血管障害が隠れている危険性があるからです。実は重症化した場合の2年生存率は5割程度、中程度の症状でも5年で3割程度の予後しかありません。もし次のような症状に心あたりがあったら、すぐに病院を受診することが大切です。 症状 重症だと足が壊死してしまうことも 閉塞性動脈硬化症の症状は、進行の程度によって4段階に分けられます(フォンテイン分類)。最も軽いのがⅠ度でⅡ度、Ⅲ度と数字が大きくなるにつれて、症状が重くなっていきます。最も重いのがⅣ度です。 [fureai-g.or.jp]
例えば下肢閉塞性動脈硬化症があると、冠動脈疾患の合併率が約6 7割、脳血管疾患の合併率は約4 5割弱といわれています。つまり足の病気(閉塞性動脈硬化症(PAD)を発見することが、最も効率よく脳梗塞や心筋梗塞を未然に防ぐことにつながります。それゆえ、「閉塞性動脈硬化症(PAD)は全身アテローム性血栓症疾患の窓口」といわれています。 いずれにしろ、閉塞性動脈硬化症(PAD)を発症していると予後は極めて不良であります。 [hospital.iuhw.ac.jp]
腎疾患関連合併症:[2.0%] 造影剤による腎障害、コレステリン塞栓症にともなう腎機能の悪化 腸管関連合併症: 腸管の通過障害(腸閉塞)、腸管の虚血・壊死、大動脈腸管瘻、麻痺性イレウス 創傷関連合併症: 抗生物質を要する創部の感染、リンパ瘻(リンパ管を損傷し、リンパ液が貯まること)、創部の離開・再縫合、組織切除を要する壊死 循環器系合併症: 心筋梗塞、うっ血性心不全、新たな薬物投与または治療を要する不整脈、 カテーテル治療を要する虚血性心疾患、強心薬の必要性、難治性高血圧 大動脈瘤をお持ちの患者さんは、冠動脈疾患 [kyoto-u-cardio.jp]
精密検査
特に症状が3度、4度の患者さん、また2度で歩ける距離が短い患者さんについては、血 管造影、全身状態の精密検査の結果、外科治療を考慮します。図3に 腹部大動脈、腸骨動脈部位の閉塞性疾患に対する血行再建術(バイパ ス術)の成績を示していますが、特に解剖学的バイパス術(腹部大動脈、腸骨動脈-大腿動脈バイパス術)は開存率が高く、患者さんにも 大変喜ばれる手術であります。 [kyudai2geka.com]
治療
治療 発症から血流を再開するまでの時間が非常に重要で、発症してから6時間以内に血流を再開することが、血流が途絶えた部位の細胞の 壊死 ( えし ) を防ぐために必要とされています。 抗凝固薬の投与 血液が固まりにくくなる薬剤(抗凝固薬)を点滴で投与します。 血栓除去術 血管内にバルーンカテーテルを入れて血栓を取り除く手術です。 血管内治療 血管内にカテーテルを入れて血栓溶解薬を投与したり、血栓を吸引したりして血流を再開させます。 [medicalnote.jp]
「下肢閉塞性動脈硬化症」と言われたら、どの科を受診して、どんな治療を受けるべきですか まっすぐ心臓血管外科を受診すべきです。近くに心臓血管外科医が居ない場合には、循環器内科をお薦めいたします。ただし、III度以上の重症例では薬物療法は有効ではないので、いたずらに長期にわたって薬物療法を続けることのないよう、まず、 早い段階で血管外科医を紹介してもらってください。 Q7.治療法を教えてください 治療法は間歇性跛行肢(II度)と重症虚血肢(III度ないしIV度)で大きく異なります。 [aurora-net.or.jp]
血管内治療 レントゲン診断装置のもとにカテーテル操作により血管造影を行いながら、 狭窄部位や閉塞部位を広げ開通させる治療です。ステント治療も含まれます。 2. 手術治療 血管内膜を取り除く治療、自家静脈や人工血管を用いたバイパス術、 ステント治療とバイパス手術を組み合わせる治療。 1や2の治療はすべての病変に可能とはいえません。血管の狭窄や閉塞、そして足の状態によって治療を行います。 [dokkyomed.ac.jp]
予防
PADの予防法 高血圧・糖尿病・高脂血症を予防または治療すること、禁煙を心がけることなどが大切です。また、ウォーキングなどの適度な運動を習慣づけるのも良いでしょう。 ピックアップ PADという疾患名 日本では、「閉塞性動脈硬化症(Arteriosclerosis Obliterans;ASO)」と呼ばれている疾患ですが、海外では、「末梢動脈疾患(Peripheral Arterial Disease;PAD)」という疾患名が一般的です。 [otsuka.co.jp]
血栓の予防や動脈硬化の進行を抑えます。 末梢血管拡張薬 血管を広げ、手・足の末梢の血流を改善する薬で、PGE1製剤のアルプロスタジル アルファデクスなどがあります。 抗凝固薬 血漿板が固まるのを抑えて血栓を予防する薬で、ヘパリン、ワルファリンなどがあります。 バイパス手術 別の血管で迂回路を作り、血流を再開させる 血液の流れが悪くなった血管に替わって、別の血管(グラフト)で迂回路を作ることで、血液の流れを再開させる手術をバイパス手術といい、主に血管外科で行われています。 [fureai-g.or.jp]
予防の基礎知識 突然起こって早期に死へ至りやすいため、普段から予防を心がけることが大切です。 脳梗塞 や 心筋梗塞 と同じように、原因は動脈が詰まることなので、動脈硬化などの血管病や 不整脈 などの心疾患がある高齢者は特に注意が必要です。 まずは、水分を適宜とって、脱水にならないようにすることが大切です。定期的に検診を受け、コレステロールや中性脂肪などをチェックし、動脈硬化の進行を防ぐことも重要です。 [saiseikai.or.jp]