要約・抄録 過去10年間の当科において悪性肝腫瘍の疑いで切除された非悪性肝腫瘍11症例について臨床的検討を行った。術前診断は, 肝細胞癌8例, 転移性肝腫瘍2例, 肝嚢胞腺癌1例であった。肝細胞癌の診断の8例中, 肝炎ウイルスマーカー陽性は4例, AFP高値, CA 19-9高値は各1例, 背景肝は肝硬変4例, 慢性肝炎2例であった。転移性肝腫瘍の診断の2例は, S状結腸あるいは盲腸が原発巣と考えられた。肝嚢胞腺癌の診断の1例は画像上一部に乳頭状発育を伴う嚢胞性腫瘍であった。肝部分切除が9例 (81.8%) に, 区域切除以上の肝切除が2例 (18.2%) に行われ, 術後合併症はなく,[…]
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