抄録 最近,われわれは珍らしい眼窩転移をきたした再発乳癌の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告した. 本症例は52歳の女性で,左乳癌[T3 N1b M0]で定型的乳房切断術を受けたが,術後1年6カ月で左鎖骨上リンパ節転移および局所皮膚再発をきたした.ホルモン療法と放射線療法により一時再発転移巣の縮小を見たが,再発5カ月後に,右眼球結膜浮腫,眼痛が出現,しだいに眼球突出も著明となりC T-scanによって右眼窩腫瘍と診断された. また,この頃より肝,肺,骨転移などの広範な全身転移をきたし,全身化学療法を行なったが効果なく再発後9カ月で死亡した.[…]
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